報道記事の部屋

北方ジャーナル公式ブログ 令和3年4月12日 掲載記事


総長解任取消訴訟の関連裁判で驚きの展開 北大が名和前総長のパワハラ関連文
書が存在しないことを認める 崩れた解任の根拠

パワハラ情報不開示処分取り消し訴訟第2回弁論後に行なわれた原告団報告会(4 月9日、中央が名和豊春氏、左が佐藤博
文弁護士)
北海道大学前総長の名和豊春氏(67)の解任を巡る取り消し訴訟の一環として、名和氏など原告側が求めた(名和氏の)パワハラに関する文書が、北大側に存在しなかったことが明らかになった。

4月9日に札幌地裁で開かれた個人情報不開示取り消し訴訟の第2回弁論で、北大側はパワハラに関する文書不存在を認めたことで分かった。これによって学内規定に基づく文書が存在しない中、「パワハラ」がひとり歩きして名和氏の解任に至ったことが明らかになった。
名和氏は、北大総長選考会議による調査委員会の報告を基に、ハラスメントなど不適切な言動があったとして文科省から昨年7月に解任された。その後、名和氏は文科省と北大を相手取って解任取り消し訴訟を提起。また、北大に対して、自身のパワハラに関する個人情報不開示処分の取り消しを求めた訴訟も同時に提起していた。4月9日、個人情報不開示処分取り消し訴訟の第2回弁論が行なわれ、北大側は当初の「文書が存在するか否かを含めて不開示」との主張を一転、文書そのものが存在しないことを陳述した。
このことによって、学内規定に基づく「パワハラ」被害や相談・調査、認定はなかったことになり、解任の根拠とされた「パワハラ」が存在しなかったことになる。
北大側は、こうした文書の存在がなかったにも関わらず名和氏の解任を実行したもので、学内規定に基づかない解任だったことが明確になった。今後は、総長選考会議の調査報告書に記載されたハラスメントに関する記述の正当性が問われることになる。
名和氏は、「2年半にわたって戦ってきたが、やっと自分が(パワハラを)やっていないことが認められた」と話した。弁護団長の佐藤博文弁護士は、「北大のパワハラ文書不存在は、総長解任取り消し訴訟の重要なターニングポイントだ。北大で正式にパワハラ認定していないのに、なぜパワハラがひとり歩きしたのか。北大は学内外に向けてパワハラ報道等を否定すべきだったのに何もせず、今日まで放置した。本体の解任取り消し訴訟の手続きの問題として、重要な問題になっていくだろう」と話している。(こ)

(北方ジャーナル公式ブログ提携記事から転載)

北方ジャーナル公式ブログ 令和3年2月22日 掲載記事

北海道大学前総長(学長)の名和豊春氏(66)が、国と北大を相手取り解任処分の取り消しと約1460万円の損害賠償を求めて提訴した裁判で2月22日午後、第1回口頭弁論が、札幌地裁の805号法廷で開かれた。

(写真は、公判後に記者会見に臨む名和氏と弁護団=右から佐藤弁護士、名和氏、小野寺弁護士、2月22日午後、札幌弁護士会館5階で)

この日、傍聴人でほぼ埋まった805号法廷の証言台に立った名和氏は、意見陳述で「昨年6月30日に文科相が行なった総長解任処分を取り消してもらうと同時に、審理を通じて北大が密室の中で行ない今なお明らかにしようとしない解任手続きの真相を追及したい」と前置きし、「全てがパワハラありき、解任ありきで進められた」として北大の一連の対応を批判。「これは私個人の権利や利益の問題をはるかに超えて、北大の自由と民主主義の伝統、学長を含む教員人事全体の透明性や大学自治に関わる重大な問題だ」と訴えた。
 続いて名和氏の弁護団を代表して佐藤博文弁護士(札幌弁護士会)が、本訴訟の意義などを陳述。この中で佐藤弁護士は、北大側に大きく二つの問題があると指摘。「一つは解任手続きがブラックボックスの中で行なわれ透明性が全くないこと。もう一つは解任理由や証拠の開示をはじめ反論機会の保障など、遵守されるべき手続きがなされていないことだ」と説明し、本件は北大の秘密主義、隠蔽体質との闘いであることを強調した。
 被告である国と北大が意見陳述を次回に持ち越したことで、今回は原告側の小野寺信勝弁護士が「訴状の要旨」を陳述して閉廷。その後、札幌弁護士会館で開いた記者会見で名和氏は「今日、被告席を見た時、これから法廷の場で正々堂々と闘うことができるようになったと思い、むしろ心が穏やかになった」と話した。次回公判は6月14日午後2時から同じ805号法廷で開廷予定。

(北方ジャーナル公式ブログ提携記事から転載)

紙の爆弾 2020年10月号 掲載記事