いままでの裁判の経過

総長解任処分取消・損害賠償請求訴訟

2020年12月10日 提訴

 日本の国立大学市場初めて文科大臣より北海道大学総長を解任された名和豊春氏は12月10日、解任処分取り消しなどを求める訴訟を札幌地裁に起こした。

 【訴状(全文)は、訴訟の内容(1)に掲載】

 訴状を提出後、記者会見を行なった。

2021年2月22日 第1回口頭弁論 午後1時30分 (公開)

 原告及び弁護団は、原告の意見陳述、弁護団の訴状要旨陳述と意見陳述を行なった。
  【2021.2.22付:原告の意見陳述書】
  【2021.2.22付:弁護団の訴状の要旨】
  【2021.2.22付:弁護団の意見陳述書】
 国と北大からは、請求の趣旨に対する答弁書(請求の棄却)が陳述された。
 原告の請求原因対する認否及び反論の書面を提出するのに「3か月ほど時間が欲しい」との要望が北大からあり、次回弁論期日を6月14日(月)午後2時と決めた。
 弁論終了後、記者会見と裁判傍聴者への報告会を行なった。

2021年6月14日 第2回口頭弁論 午後2時 (公開)
           第1回進行会議 午後2時30分 (非公開)

■ 国は、5月17日付けで、訴状の請求原因に対する認否・反論の第1準備書面(26頁)と書証(乙1~6号証)を提出した。【掲載は省略】
 国は、「文科大臣は、学長選考会議の解任の申出に法的に拘束され、①同申出の内容が明らかに不適当と客観的に認められる場合、又は➁同申出に明白な手続上の違法がある場合を除き、文科大臣は学長解任処分を行なわなければならず、仮に学長選考会議の申出に違法があったとしても、上記①又は➁の例外的な場合に当たらない限り、文科大臣の学長解任処分が違法と判断されることはない」として(25,26頁)、実質的な判断権者は北大であるとして責任を押し付けた。
■ 北大も、5月17日付けで、訴状の請求原因に対する認否・反論の準備書面⑴(71頁)と書証(丙1~22号証)を提出した。【掲載は省略】
 文科省が事実認定した28の非違行為について認否・反論したが、文科大臣が認定した解任事実をなぞらえるだけで、裁量権の逸脱・濫用や適正続の瑕疵について積極的な反論はなかった。

■ 北大が5月17日に提出した録音デ-タの反訳書(丙3)に、録音デ-タが付いていなかったので(正確な反訳か確認できない)、弁護団は6月8日付け意見書で録音デ-タの交付を求めた。

■ 原告弁護団は、6月10日付け準備書面⑴(7頁)を提出した。本件解任に関係する教職員は、原告を含め北大の構成員であるから、大学の規定に基づく履践がなされたか否かは本件解任手続の適法性に直結するとして、情報開示請求の結果判明した事実(ハラスメント、研究不正、内部告発などが無かったこと)を明らかにした。【掲載は省略】

■ 以上の事前やりとりに基づき、6月14日、第2回口頭弁論が行われた。また、裁判長が交替したので弁論更新を行ない、原告が意見陳述を行なった。
【2021.6.14付:原告の意見陳述書】  北大は、原告の要求に基づいて録音デ-タを提出することを約束した。
 裁判長から、今後の審理方針について協議したいとあり、弁論終了後、進行協議(第1回)を行なった。
 双方持ち帰って検討することになった。

■ 弁論と進行協議の終了後、記者会見と裁判傍聴者への報告会を行なった。

2021年7月5日 第三者の閲覧・謄写の制限の申立

 北大は、7月6日付で録音記録を開示したが、同時に民事訴訟法92条1項1号(①秘密の重大性、②秘密開示に伴う支障の顕著性)を理由として訴訟記録閲覧を第三者に閲覧、謄写(コピー)させない制限申立をした。
 これに対して、原告は、民事訴訟法92条1項1号の要件を充たしておらず、速やかに却下すべきとする意見書を提出した。
 北大は、後日、7月26日付けで申立てを取り下げた。

2021年7月28日 第2回進行協議 午前11時(非公開)

 裁判所は、今後の進行の大まかな見通しを立てたいと、双方に意見を求めた。原告は、解任理由の主張立証責任が北大と文科大臣にあることを確認し、原告において北大と国の5月17日付け準備書面に対する反論を行なうので、その内容を踏まえて協議を継続することにした。
 以上のやり取りのうえで、次回口頭弁論期日(公開法廷)を、11月10日午前11時30分(805号法廷)と決めた。
 原告は、10月29日までに、被告らに対する反論書面を提出する。
 また、国は、9月末日までに補充書面を提出すると述べた。

2021年11月10日 第3回口頭弁論 午前10時30分 (公開)

■ 原告は、次の3本の準備書面を提出し、(2)は陳述し、(3)と(4)は陳述保留となった。
   準備書面(2) 北大・文科大臣が解任事由と認定した非違行為に対する反論。これに関して、書証として甲43~45を提出。
   準備書面(3) 手続の違法性など、非違行為以外の北大の主張に対する反論。これに関して、書証として甲46~74の2を提出。
   準備書面(4) 国の主張に対する反論。

■ 原告は、今後の進行について意見を述べた。
  【2021.11.10付:進行意見(今後の原告の主張立証方針)】
 本件では、解任手続の瑕疵も重要な争点であり、具体的には、被害者とされる者や解任手続を進めた者の属性や立場、調査委員会の正統性、総長選考会議の審理経過などが問題である。いったい誰が、いかなる目的で、なぜ学内諸規程を無視し、総長選考会議の独断で進めたのか。大学の自治及びそれに基づいて具体化された国立大学法人法、さらには被告北大の学内諸規定の解釈適用を前提に、その適法性が議論される必要があり、この点を次回までに主張すると述べた。

■ 提出書証のうち、甲46から68の3までは、原告が総長に就任した直後の、平成29年6月23日同年度第1回総長選考会議から、解任決議を行なった平成元年7月4日の後の令和元年9月27日同年度第1回総長選考会議までの議事要旨と添付資料・参考資料である。情報開示請求による開示文書であるため黒塗りが多くなっている。【掲載は省略】

■ 今後の進行について
 被告らは、原告の準備書面(2)(3)(4)に対する認否・反論を、原告は、前述の予告書面を、2022年3月2日までに提出する。

2021年11月10日 第3回進行協議 午前10時50分 (非公開)

   主張対比表を作成し、令和4年3月2日までに提出することにした。
   原告は、3月2日までに、主張の追加及び立証計画の提出を行なう。
   北大は、3月2日までに、原告準備書面に対する反論及び求釈明に対する対応について検討する。

2022年3月9日 第4回口頭弁論 午前11時 (公開)

■ 原告は、次の2本の準備書面を提出し、陳述した。
   令和3年10月29日付け準備書面(3) 【掲載は省略】
   令和3年10月29日付け準備書面(4) 【掲載は省略】
  北大は、次の2本の準備書面を提出し、陳述した。
   令和4年3月2日付け準備書面(3) 【掲載は省略】
   令和4年3月2日付け準備書面(4) 【掲載は省略】
  国は、次の準備書面を提出し、陳述した。
   令和4年3月2日付け第2準備書面 【掲載は省略】

2022年4月13日 第4回進行協議 午後4時 (非公開)

 争点整理表の原告の主張部分の確認を行なう。

2022年5月11日 第5回口頭弁論 午前10時30分 (公開)

 従前の口頭弁論の結果を陳述した。
 北大は、7月11日までに争点整理表への記載を行なう。

2022年7月20日 第6回口頭弁論 午前10時30分 (公開)

 以下の内容を確認した。
  国は争点整理表への記載を行なう。
  原告は9月28日までに主張の補充及び立証計画についての整理を行なう。

2022年10月5日 第7回口頭弁論 午前10時30分 (公開)

 以下の内容を確認した。
  原告は主張の補充を行なう。原告が予定しているのは、総長選考会議による解任手続の違法性について、従前の主張の補充と併せて新たな主張(書証の追加提出も服務)を行なうことである。
  原告及び北大は、争点整理表の加筆修正を行なう。

2022年10月5日 第5回進行協議 午後10時45分 (非公開)

 原告は、9月27日付けで「立証計画に関する意見書」を提出した。
 原告が、令和5年1月10日までに、人証申請(必要性を含めて)を行なう。裁判所は、録音テ-プのあるものについては証人申請不要との基本認識を開示し、採用する証人を絞り込む考えであることが明らかになった。
 他方で、個々の「非違行為」の立証とは別に、「総長不適任」との判断基準や審理手続の適正等に関する証人の申請が検討されることになる。

2023年 1月16日 第8回弁論 午後1時30分 (公開)

■ 原告は、準備書面⑸を提出しました。北大の組織運営体制を国立大学法人法と学内諸規定に基づいて説明し、原告の解任手続について、総長選考会議議事要旨などの証拠に基づいて、経過の詳細と手続きの違法性について全面的に解明した書面です。45頁にわたり、末尾には総長選公会議の開催日時と出席状況の一覧表が付いています。
  その結論は、次のとおりです。
「 以上のとおり、本件解任手続の全経過を見るとき、徹底した秘密主義と、学内規程に基づかない恣意的な処理が顕著であり、ごく一部の関係者によって企図・遂行されたク-デタ-のごときである。
  本書面で論じた手続違反はいずれも重大であり、これだけでも十分に解任処分の取り消しに相当する。」

  【2023.1.10付:原告準備書面⑸ 本文】
  【同 別紙「総長選考会議の開催日と出席状況)】

  これに対して、被告の北大も国は、3月15日までに認否反論の書面を提出ことになりました。

■ 前記の準備書面⑸の裏付け証拠として甲75~95(20点)を追加提出し、その証拠説明書⑸を提出しました。
  書証は大部なので省略しますが、甲94のみ添付します。これは、現在もなお、被告北大のホ-ムペ-ジにおいて、総長解任申出を審議した平成30年11月6日から令和元年7月4日までの10回の臨時会議が、開催されたこと自体が公表されていない(隠匿されている)ことを示すものです。

  【甲94 2022.12.27時点の北大ホ-ムペ-ジ「総長選考会議」欄】

■ 原告は、調査委員会の調査報告書について不開示処分取消訴訟を遂行していますが、本件の解任処分取消訴訟で提出したそれ(丙号証)との間に齟齬があり、欠落部分の提出を求めました。これには、北大が非違行為と認定したが、文科臣は非違行為と認定しなかった事実に関するものがあると推察され、重要な証拠になります。
  これに対して、被告北大は、3月15日までに回答することになりました。

  【2023.1.10付:求釈明書】

■ 証拠申出書⑴で、総論と手続に関する証人申請を行ないました。石山喬・総長選考会議議長、笠原正典・総長職務代行理事、吉川武・調査委員会委員長、それに学者証人(未定)です。【掲載は省略】
  また、証拠申出書⑵で、解任事由とされている原告の「非違行為事実」に関係する教職員28人の申請をしました。【掲載は省略】
  これに対しても、被告北大と国は,3月15日までに意見を述べることになりました。

2023年 3月22日 第9回弁論 午後1時30分 (公開)

■ 被告北海道は、準備書面⑸を陳述した。
■ 被告国は、原告主張に対する反論は、その要否を含めて検討中で、反論する場合には5月24日までに書面を提出する。
 原告と被告北海道の人証申請について、特に意見はない。

■ 争点整理表のうち手続違法部分について整理して、提出する。
■ 弁論終了後、別室で進行協議手続(1時50分~2時30分)
 ・ 証拠調期日として、裁判所から、仮日程として令和5年6月28日、7月26日、9月6日、9月27日、10月25日(予備日)が示される。

2023年 4月18日 進行協議期日 午後4時 (非公開)

■ 陳述書提出期限を次のように決める。
  6月28日期日 ⇒ 5月31日
  7月26日期日 ⇒ 6月28日
  9月 6日期日 ⇒ 7月26日
  9月27日期日 ⇒ 9月 6日

■ 10月18日を原告本人尋問期日として仮予約した。

2023年 5月31日 第10回弁論 午前11時 (公開)

■ 第9回弁論時から、右陪席と左陪席の裁判官が替わったので、従前の口頭弁論の結果を陳述した。
  裁判長       右 田 晃 一
  裁判官(右陪席)  藤 永 かほる (新)
  裁判官(左陪席)  市 原 隆一郎 (新)

■ 被告らは、必要に応じて手続違法に関する反論について、原告が作成した争点整理一覧に記載することになった。
■ 現時点での証人尋問の予定について決めた。

2023年 6月28日 第11回弁論 午前10時30分 (公開)

■ 被告北大が申請した4名の証人尋問を行なう。
 午前10時30分~午後4時40分

■ 被告北大、7月26日証人尋問者の陳述書を提出した。
■ 終了後、北海道合同法律事務所会議室で報告会を行なう。
 傍聴者から様々な感想、意見が寄せられた。
 例えば、総長補佐だったT証人が、原告からパワハラされたことはない、調査委員会の調査に対して自分になされたことはパワハラであると訴えたことはない、役員会で(パワハラ問題を)議論したこともなかった、と証言したことについて、北大の主張と全然違う、他の証人も事実や記憶に反した証言をしているのではないか、など。

2023年 7月26日 第12回弁論 午前10時30分 (公開)

■ 被告北大が申請した4名の証人尋問を行なう。
 午前10時30分~午後4時30分

■ 被告北大、9月6日証人尋問者の陳述書を提出した。
■ 裁判所、原告本人の陳述書を8月31日までに提出するよう指示。
■ 終了後、北海道合同法律事務所会議室で報告会を行なう。
 傍聴者から様々な感想、意見が寄せられた。
 例えば、政策調整室室長代理だった証人が、総長のハラスメントが問題であれば、ハラスメント規程に基づいて調査委員会を設置するなどの手続き取るのが筋ではないかという質問に対して、総長の許可を得て調査委員会を立ち上げなければならないのでその間に様々な仕打ちがあるかもしれない、北大ハラスメント規程を一番最初に策定したのは私だ、ハラスメント規程の域を脱していると判断する能力も(私は)持っていた、という証言に対して、だから学内規程を無視して、秘密裏にハラスメントを認定してよいというものではない、大学の民主主義を全く無視しているなど。

 

2023年 9月6日 第13回弁論 午前10時30分 (公開)

■ 被告北大が申請した4名の証人尋問を行なう。
 午前10時30分~午後4時30分

■ 被告北大、9月27日証人尋問者の陳述書を提出した。
■ 原告、原告本人の陳述書Ⅰ(手続総論)と陳述書Ⅱ(非違行為各論)を提出した。
■ 終了後、北海道合同法律事務所会議室で報告会を行なう。
 傍聴者から様々な感想、意見が寄せられた。
 例えば、証人は皆、口を揃えて、調査委員会のヒアリングには、数日前に総務課長から呼ばれて調査に応じたと言い、特に事前に、調査の主体や目的、事前準備について説明や指示がなったかのような証言をしたが、そんなことはありえない、など。

2023年 9月27日 第14回弁論 午前10時30分 (公開)

■ 被告北大が申請した3名の証人尋問を行なう。
 午前10時30分~午後4時15分

■ 終了後、北海道合同法律事務所会議室で報告会を行なう。
 傍聴者から様々な感想、意見が寄せられた。

2023年10月18日 第15回弁論 午前10時00分 (公開)

■ 原告は、10月16日付で「準備書面⑹-総長選考会議の法的地位と解任手続をめぐる証拠調べの必要性」を提出し、2023年1月10日付で申請した次の3人の証人尋問の必要性を強調した。
   石山 喬  総長選考会議議長
   笠原正典  役員会理事・総長職務代理
   吉川 武  総長選考会議調査委員会委員長

■ 原告本人尋問を行なう(主尋問・反対尋問)。
 午前10時00分~午後4時

■ 尋問終了後の弁論で、裁判長は、原告が申請していた3人の証人の採用を必要性なしとして却下した。ことに対して、原告代理人は直ちに異義を申し立てた。すると裁判長は、異義に理由がないとして即時に却下した。
■ 続いて裁判長は、結審を宣告し、結審弁論期日を別に設ける事をせず、判決言渡し期日を20245年3月13日(水)午後1時10分と指定した。
 これに対して、原告代理人が抗議し、今までの主張と証拠調べの結果をまとめた書面を法廷で陳述する最終弁論期日を設けるよう求めたが、裁判長は容れず。
 止むを得ず、原告は、12月末日までに最終書面を提出するとした(法廷で弁論されないが)。これに対して、被告らは何も意見を述べなかった。

■ 裁判了後、北海道高等学校教職員センタ-4階大会議室で報告会を行なう。
傍聴者から様々な感想、意見が寄せられた。</span>

2023年12月27日

■ 原告は、最終準備書面(88頁)を提出した。
 なお、被告北大は、12月15日に準備書面⑹を提出した(原告同様、弁論での陳述にはならない)。

2024年 3月13日 午後1時10分 (予定)

■ 判決言渡し
■ 判決に対する記者会見・報告集会