いままでの裁判の経過

個人情報(調査委員会資料)不開示処分取消請求・第2次訴訟

2021年9月17日 提訴

 北大は、第1次訴訟の対象である2020年12月15日付不開示処分を7月6日付けで取り消し、同日付で新たに開示決定と不開示決定を通知した。
 これにより、調査委員会の資料の大部分が開示されると期待されたが、7月29日に開示を受けてみると、ほとんど真っ黒塗りで、開示の実態をなさないものだった。
 そこで、9月17日、原告は第1次訴訟を取下げると同時に、新たな開示決定の不開示が違法無効であるとして、同決定の取り消しと損害賠償の訴訟を提起した。これは、開示・不開示の法適用基準の明確化と北大の違法性・責任の重大性の確認を求めるものである。

 【訴状(全文)は、訴訟の内容(4)に掲載】

 提訴は、解任処分取消訴訟と同時に行ない、提出後に両提訴併せて記者会見を行なった。

2021年11月25日(第1回弁論)

 北大の代理人は、第1次訴訟の第1回口頭弁論の時と同じく、事前に答弁書を提出して弁論には欠席し、擬制陳述とした(法廷で答弁書を陳述したものとみなす。被告が第1回弁論の時だけ許される)。
 答弁書は、請求棄却の判決を求め、原告の主張に対する簡単な認否を行なうのみで、具体的な反論は次回に行なうとしていた。この反論について、北大は、準備に時間がかかるとして、3カ月後の次回期日(2022年2月24日)の1週間前までに提出するとした。
 原告代理人が訴状の要旨と裁判の意義について意見陳述しようとしたが、裁判所は、被告が出席している時に行なうべきとして、認めなかった。
 裁判終了後、傍聴者及び報道記者に対する報告会が行なわれ、原告代理人が予定していた意見陳述の内容が話され、裁判の争点や見通しについて闊達な質疑が行われた。

2022年2月24日(第2回弁論)

 北大より、2月16日付けで準備書面(1)が提出された。本文11頁、添付別紙一覧表48頁の分量であるが、2021年7月6日に北大が行なった不開示決定の理由をなぞるだけのものだった。
 これに対して、原告代理人は、本訴訟の内容と意義について意見陳述し、次回期日(5月26日)までに反論反証を行なうとした。

 原告代理人「弁論の要旨」

2022年5月26日(第3回弁論)

 原告より、4月28日付け準備書面(1)が提出され、陳述した。さらに次回までに、被告の準備書面(1)の別紙一覧表記載の事実に対する反論の準備書面を提出することになった。

 【原告の4月28日付け準備書面(1) ⇒ 掲載は省略】

2022年7月21日(第4回弁論)

 原告より、7月14日付け準備書面(2)が提出され、陳述した。非開示事由ごとの双方の主張整理の作業として、被告が、原告の主張に対する反論を記載した書面を10月4日までに提出することになった。

 【原告の7月14日付け準備書面(2) ⇒ 掲載は省略】

2022年10月15日(第5回弁論)

 被告が、10月4日付け準備書面(2)と準備書面(3)を提出し、陳述した。
 原告が、被告準備書面(3)別紙一覧表に対応する形式で記載した書面及び知見文献等の書証を、12月8日までに提出することになった。
 次回期日(第6回)は、12月15日に指定。

 【被告の10月4日付け準備書面(2) ⇒ 大部なため掲載省略 】
 【被告の10月4日付け準備書面(3) ⇒ 大部なため掲載省略 】
 この2つの書面により、現時点までの「非開示理由」⇒「原告の主張」⇒「被告の反論」までが整理されている。

2022年12月15日(第6回弁論)

 原告が、12月12日付け準備書面(3)を提出し、陳述した。
 主張整理は一応終了とし、証拠調べについて、被告が2023年2月17日までに申請書(当該証人の陳述書を含む)を提出することになった。
 次回期日(第6回)は、2023年3月2日午前10時に指定。

 【原告の12月12日付け準備書面(3) ⇒掲載は省略】

2023年3月2日(第7回弁論)

 被告が、証拠申出書と乙17(申請証人の陳述書)を提出した。
 原告は、次のとおり弁論した
 ・ 被告申請証人の役職は「係長」であり、被告の認識や判断内容を証言できる適格性に欠けること
 ・ 同人の陳述書の内容は、総長解任手続に係る調査委員会の活動内容や原告や支援者らの活動内容にまで及び、反論反証の必要性を検討したい。次回までに、原告の陳述書を提出し、証人申請の肯否について明らかにする。
 ・ 次回期日(第8回)は、2023年5月11日(木)午前11時に指定。

 【被告の2023年2月17日付け証拠申出書 ⇒ 掲載は省略】
 【乙17号証(申請証人の陳述書) ⇒ 掲載は省略】

2023年5月11日(第8回弁論)

 ・ 原告が、証拠申出書(北大総務係長と原告本人)と甲76(原告の陳述書)を提出した。
 ・ 次回期日(第9回)を、2023年7月6日(木)午前9時30分に指定。
 北大証人と原作本人の証人尋問を実施する(9時30分~12時までの予定)

2023年7月6日(第9回弁論)

 ・ 北大証人(総務企画部の情報公開事務を担当)開示と原告本人の証人尋問を実施した(9時30分~12時)
 ・ 次回期日(第10回)を、2023年9月7日(木)午前9時30分に指定。
 原告は、8月31日までに証人尋問の結果に基づく最終準備書面を提出する。被告は提出予定なし。

 ・ 次回期日で結審となれば、次は判決言渡しとなる。

2023年9月7日(第10回弁論)

 ・ 原告が準備書面⑷(8月31日付)を陳述し、甲80号証を提出した。
 ・ 被告が準備書面⑷(8月31日付)を陳述し、乙18、19号証を提出した。
 ・ 他に主張立証がないことを確認し、結審した。
 次回を判決言渡とし(第11回弁論期日)、2023年12月14日(木)午後1時10分に指定した。
 (以上、9時30分~9時40分)

2023年12月14日(第11回弁論)

 ・ 判決言渡し。一部勝訴ではあるが、違法性が明らかなごく一部を認めたにすぎず、枢要な争点では原告主張を全て排斥しており、実質的に不当判決ということができる。
 【主文】
  1 被告が原告に対し令和3年7月6日付けでした一部不開示決定のうち、ヒアリング反訳書に記載されているヒアリングを実施した弁護士の性を不開示とした部分を取り消す。
  2 原告のその余の請求を棄却する。
  3 訴訟費用は原告の負担とする。

 ・ 判決後、北海道高等学校教職員センタ-4階第会議室で、報告会と記者会見を行なった。不開示の判断基要素を、客観的な文書自体の性質からではなく、原告が調査業務に支障を与えるという主観的な個別事情から判断しており、個人情報公開法の基本原理に反していること、さらに、実際の開示範囲についても、膨大な内容の中には部分開示が可能なものが多数あるのにかかる判断をしなかったことから、不当な判決であると評価した。
 控訴するかどうかについては、今後、原告と弁護団で検討のうえ判断するとした。

2023年12月29日(控訴期限)

 ・ 本件開示請求の対象文書(調査委員会の報告書)は、すでに総長解任取消訴訟において被告北大から法廷に提出させており、もともと総長解任取消訴訟の提起に向けた証拠収集の一環であったから目的は達成されたといえる。
 そのため、敢えて控訴審で争う実益はないと判断し、控訴期限経過で確定し、訴訟は終了となった。